ICPC 2023 Asia Yokohama Regional スタッフ参加記
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前書き
こんにちは、heno239です。
今回はICPC 2023 Asia Yokohama Regional にスタッフとして参加してきました。
私自身は去年まで選手側としてこの大会に出場していたのですが、参加資格がなくなり、かつコーチの資格もないため、このような形で参加することになりました。
大会のスタッフ側がどんな感じなのかあまり知れ渡っていない(実際自分も全然どんな感じなのか知らなかった)気がしているので、この記事では
- スタッフの仕事内容(自分の場合)
- どういう点が楽しかったか/面白かったか/お得だったか
について書き、スタッフ側で参加することにも興味を持っていただけたら嬉しいなと思っています。
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参加することになった経緯
10月半ばごろにJAGの方からスタッフのお誘いをいただきました。当時の予定では11月10日~11月18日にICPC WFでエジプトに行く予定だった*1ので、「体調が崩れてなければ行きます」みたいな微妙な返事をした記憶があります。
そうして何日か経った後にエジプト行きが延期されたので、心置きなくスタッフ参加できるようになりました。延期でキャンセルした飛行機のキャンセル料がどうなるか分からず不安になったり、いつまで経っても選手を引退できなくてなんだこれとなったり、逆に横浜大会はのびのび参加できるなと安心したりして、とても複雑な気持ちになりながら日々を過ごしていました。
スタッフとしての仕事は11月24日に現地に行くまで特に無かったので、それまでは普通に過ごしていました。
また、スタッフ参加にあたって、交通費全額支給と宿泊場所の提供、(これは後ほど知りますが)食事or食費の支給があり、金銭面では全く困ることが無い*2ように設計されていました。
学生運営のイベントスタッフしか経験したことが無かった自分にとっては、かなり待遇が良いんだなと感じました。
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スタッフ1日目(大会0日目)
11時集合で、この日は主に会場の設営を行いました。
何もない空間から全てを配置していくのかと身構えていたのですが、到着時には既に机やPCは並べられていました。以下に時系列順で行った仕事を書きます。
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各机のPCにつなげられるように電源を引く
この仕事は、会場にいくつかあるコンセントと机を頂点として、以下の制約を満たすように辺を貼ってグラフを作る仕事でした:
- 各机について、同じ連結成分内にちょうど1つコンセントがある
- 連結成分のサイズに上限がある
- 通路を跨ぐような辺の数をできるだけ小さくする
ホワイトボードを使ってこの問題が解かれ、その通りに皆で全身を使って実装しました。
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前項で貼った辺を強くする
養生テープを用いて、各辺が人間の足によって破壊されないように固定・保護しました。
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ネットワークケーブルを引く
こちらはどれをどのように繋げるかについて全て指示されていたので、その通りに実装していました。
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ネットワークケーブルも強くする
養生テープを用いて、各ケーブルが人間の足によって破壊されないように固定・保護しました。
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机の上にあらゆるものを置いていく
スタッフで分担して、
おはようございます。ICPC横浜大会の開催に向けて、現在、会場準備を着々と行っています。こちらは本日の主な配布物です。 pic.twitter.com/X0HkLy2ZSp
— ICPC2023JP (@icpcjapan) 2023年11月25日
で机の上に置いてあるものを順次運んでいきました。自分は主に計算用紙を配っていました。
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椅子の設置
ナイスな椅子を運んで設置していきました。
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コンテストのリハーサルのリハーサル
PCの環境やコンテストのジャッジシステムが想定外の挙動をしないことを確認するため、皆でリハーサルのリハーサルが行われました。
「あらゆる手段を用いてできるだけインターネットにアクセスしようとしてみてください」という指示があったりして面白かったです。
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このように仕事を行っていたのですが、全てが順調で、特に焦ったり困ったりすることが無くて精神的には楽でした。(肉体的には疲れましたが)
最後は仕事がなくなって暇になったので、できるだけ風船を膨らませて会場に飾り付けていく、ということをしていました。
あまりにも風船を膨らませるのが下手すぎて、beetさんに「風船膨らませたことないんですか?」と指摘されてしまいました。
また、準備中にもスタッフ用のSnack Areaがあって、いつでもお菓子を食べたり飲み物を食べたりできるようになっており、休憩しやすかったのがかなり嬉しかったです。
昼食/夕食も食費をいただけるとのことだったので、美味しい食事をすることができました。(参照:
)
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スタッフ2日目(大会1日目)
9時集合で、この日は13時から続々と選手たちが入場してきます。
午前中は前日に引き続き、電源やネットワークがうっかり破壊されないように辺の強化を行っていました。
選手が入場してからは、主に会場の案内や、会場を巡回して困っているチームがあったら助けに行く、ということが仕事になりました。
この際、念のためコンテスト終了までは選手らとの交流は控えましょうという指示があったので、あまり喋らないように気を付けていました。
開会式の後にリハーサルコンテストがありました。
選手たちにとってのコンテストのリハーサルですが、スタッフにとてもコンテストのリハーサルになっており、コンテスト中の主な仕事である「プリンターの前で待機して印刷物が出てきたら適切なチームのもとに持っていく」と「会場を巡回して怪しい動きをしている人がいないか監視する」を行っていました。
特に印刷物に関しては、あるチームが印刷したものを別のチームに誤配してしまうとコンテストの公平性が大きく損なわれる事態になりかねないので、緊張感のある仕事になっていました。(仕組み自体も間違いが無いか入念にチェックするような仕組みになっていました。)
余談ですが、「ファーストプリント賞」という賞を裏で勝手に作り、1番最初に印刷したチームをこっそり賞賛していました。
こうして無事リハーサルは終わり、スタッフ2日目/大会1日目も無事に終わりました。
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スタッフ3日目(大会2日目)
8時過ぎ集合で、この日は8時半から続々と選手たちが入場してきます。
この日の仕事はリハーサルの日と同様なのですが、リハーサルよりも厳重に様々なことをチェックする必要があり、コンテスト開始まで会場を歩き回っていました。
そしてコンテストの開始時間を迎えました。
今日の仕事はリハーサル通り「印刷物の配達」「会場の徘徊(昼食のゴミ回収含む)」となっており、また「大会配信への出演」もすることになりました。
最初のうちはどのチームもほとんど印刷をしないので結構時間に余裕がありましたが、問題は閲覧できない状況にありました。
しばらくしてスタッフ側も問題文が閲覧できるようになり、いつの間にかスタッフ待機椅子が問題文で埋まっていました。問題文を手に取らないと座れないシステム
JAGの人たちで手分けして問題を解いて大会配信に役立てよう、という感じになり、問題を見ていきました。この時点ではABDFあたりがACが出ていた記憶があります。
とりあえず自分は最初の方にあってまだ解かれていない、数え上げのC問題を解くことにしました。
それで「解けたと思ったら解けていなかった」を何度も繰り返すうちに、他のJAGの人たちによってC問題以外の解法が出てしまいました。(1発で最難問を引いてしまった...)
結局時間をかけて解けたのですが、その間は印刷等の仕事を他の人たちに押し付ける形になってしまったので、申し訳なかったです。
C問題を解いた後は主に印刷物の配達を行い、時々順位表を見てはあれやこれや他の人と予想する、ということを行っていました。
また、最後の方に大会配信にも出演し、去年までのICPCの経験や、凍結している順位表を見てあれやこれや述べたり、を行っていました。
こうしてコンテストが終わり、解説・表彰式・閉会式・懇親会が行われました。
コンテスト終了後は特に仕事もなく、イベントを楽しんでいました。
ドーナツ配布に関してスタッフ側にもドーナツがたくさん置かれていたのですが、「毎年大量に余る」という噂を信じてたくさん食べたら割とすぐなくなってしまって申し訳ない気持ちになりました。
懇親会について、去年よりも会場が一回り大きく、また食べ物/飲み物が提供されるようになっており、やっぱりこんな感じで豪華に懇親会すると楽しくて良いなあという気持ちになりました。
こうして懇親会も終わり、自分も帰路につきました。
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終わりに
今までずっと選手側として参加してきた大会に、今回スタッフとして参加することになり、とても新鮮な気持ちになったのと同時に、少しだけでも恩返しできたのかなと思いました。
一方で、まだ自分は選手だという強い意識があり、コンテストの問題セットに正面から向き合えなかったり、強いチームを見て焦燥感を覚えたりと、モヤモヤした部分は正直あります。(どうしようもないことですが)
とはいえ、スタッフとしてとても良い環境の中で大会に貢献し、コンテストに熱心に取り組む選手たちを支えることができたり、また逆にその姿からモチベーションを得られたのはとても良かったなと達成感や満足感があります。とても良い環境を整えてくださった運営の方々には感謝しかありません。
来年も是非何らかの形で参加できたらいいなと思っています。ここまで読んでくださりありがとうございました。
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おまけ
最後に会場の風船を割っていく音が、打ち上げ花火をしている音に聞こえて、とても良かった。